企業結合

ニュースや新聞などを見ると、買収合併M&A)に関する記事を目にしたことがある方もいると思いますが
買収合併のように、ある会社(または事業)と別の会社(または他の会社の事業)が1つになることを企業結合と言います。

具体的には、事業譲受(買収)合併、株式交換、株式移転、共同支配企業の形成、子会社株式の取得などがありますが
2級で学習するのは事業譲受(買収)合併の2つだけです。

買収合併と聞くと、大企業が行うものというイメージを持つ方も多いと思いますが
日本の会社はほとんどが中小企業なので、中小企業同士の買収や合併の方が多いようです。

  ※ 中小企業庁のHPによると、日本の会社の約99%は中小企業みたいです。


買収や合併には以下のようなメリットがあります。(試験には出ませんので、覚える必要はありません)

 @ 会社が集まることによって会社の規模を大きくすることができる。

 A ライバル会社を買収することによってシェア(市場占有率)を高めることができる。(水平的合併)

 B 取引先を買収することによってコスト削減につながる。(垂直的合併)

 C 新規事業をイチから立ち上げるよりも効率的が良い。

 D 倒産しそうな会社の再編。 等々


例えば「良い製品を作ることができるのに販売のノウハウがないA社」と「ネット通販を営んでいて販売のノウハウがあるB社」が
1つの会社になることによって「良い製品を全国各地に販売できる優れた会社」に変わる訳です。

このように、1+1が2ではなく、3にも4にもなることをシナジー効果と言います。
買収や合併の一番の目的は、このシナジー効果のためと言うことができるでしょう。

話が脱線してしまいましたが、それでは事業譲受(買収)から学習してみましょう。


〜事業譲受(買収)〜

お金を払って、他の会社の事業の一部または全部を買うことを事業譲受と言います。

  ※ 厳密には違うのですが、買収と考えて頂ければ良いしょう。
    『無形固定資産』で基本仕訳は学習済みです。


反対に、会社の事業の一部または全部を売ってお金をもらうことを事業譲渡と言います。



飲食事業を例に考えてみましょう。

A社が営んでいる事業の1つに飲食事業があり、この飲食事業が何年も続けて赤字を出しているため
事業の撤退を考えているとします。

それに対してB社は、飲食事業を新たに立ち上げたいと考えていますが、飲食事業のノウハウもなければ
ごひいきにしてくれるお客さんもいません。

そこでB社は、お金を払ってA社の飲食事業を買ってきます。
飲食事業を買うことによって、必要な設備やノウハウなどをまとめて手に入れることができるため
簡単にというと語弊がありますが、イチから始めるよりはずっと手軽に飲食事業を始めることができるのです。

  ※ ちなみに事業とは、一言で表すと財産のことです。
    財産には、建物や土地、設備などのように目に見える財産と
    負債や商売のノウハウ、従業員などのように目に見えない財産の2つに分かれます。
    A社の飲食店がなくなれば、そこで働く従業員はクビになってしまいますので、従業員が拒否しない限り
    B社が受け継ぐ飲食店で働くことになります。(従業員という財産もB社に譲渡されます)

  ※ なお、事業譲渡は特定継承と言われ、譲渡する財産は1つ1つ切り離すことができます。
    もしA社が、飲食事業はB社に譲渡したいけど、従業員は自分の会社で働かせ続けたいと考えるなら
    従業員(財産)はB社に譲渡しないこともできます。
    なので事業譲渡は「事業の一部または全部を〜」という表現が使われています。
    細かい話なので、読み流して頂いて構いません。


また話が脱線してしまいましたが、日常生活では縁の無い話だと思いますので
事業譲受とはどういうものなのかというイメージができれば良いかと思います。

検定では譲受企業(B社)の仕訳が問われますので、譲受企業(B社)の仕訳を前提に学習していきましょう。

他の会社の事業を買ってきた場合は、パーチェス法を使って時価で仕訳を行います。
なお、買収は商品を購入するのとはケタの違う取引になるため、プロにアドバイスを貰いながら話を進めることが多いです。
アドバイザーに対して支払う手数料等は、買収に必要な支出と考えますので、取得原価に含めて計算します。

事業譲受(譲受企業)の仕訳は↓コチラ↓


 資産・負債の差額 < 買収額 (借方差額の場合)

 (諸   資   産) ×××   (諸   負   債) ××× 
 (の   れ   ん) ×××   (当 座 預 金)   ×××

 資産・負債の差額 > 買収額 (貸方差額の場合)

 (諸   資   産) ×××   (諸   負   債) ××× 
                   (当 座 預 金)   ×××
                   (負ののれん発生益) ×××
それでは、下記の例題を使って仕訳を確認してみましょう。
 
<例題1>次の資料の仕訳を行いなさい。(決算日:12月31日)

 1月 4日 B社は、次のような財政状態にあるA社を¥2,200で買収し、買収に直接要した手数料¥100 
       (取得原価に含める)とともに小切手を振出して支払った。
       なお、A社の諸資産の時価は¥3,600、諸負債の時価は¥1,600である。
        

12月31日 決算にあたり、5年間でのれんを償却する。

<解法>

 1月 4日 (諸 資 産) 3,600   (諸 負 債) 1,600
       (の れ ん)   300   (当 座 預 金) 2,300

12月31日 (のれん償却)    60   (の れ ん)    60

   のれん償却の計算

            12ヶ月
   ¥300 × ――――――――― = ¥60
           5年×12ヶ月

<参考>なお、譲渡企業(A社)の仕訳を示すと次の通りになります。

       (諸 負 債) 1,600   (諸 資 産) 3,500
       (現   金) 2,200   (事業譲渡益)   300
〜合併〜 続いて合併について学習してみましょう。 合併とは、お金の代わりに株式などを使って、会社全体を買うことを言います。   ※ 学習上のイメージとしては、お金を払って相手の会社を買うのが事業譲受(買収)で     株式を発行して相手の会社を買うのが合併と考えて頂いて結構です。 合併は、契約の違いによって新設合併吸収合併に分かれますが 合併のほとんどが吸収合併であることから、学習上も吸収合併が前提となります。 新設合併とは、A社もB社も無くなって、新たにC社を設立する合併です。 吸収合併とは、B社がA社に吸収されて、より大きなA社が出来る合併です。 B社が無くなってしまうということは、B社株式が単なる紙切れになってしまいますので A社はB社株主に対してA社株式を発行することになります。   ※ 合併後はB社株主がA社株主に変わります。     株式の代わりにお金を払う場合もあります。     これをキャッシュアウト・マージャーと言いますが、試験には出ませんので、覚える必要はありません。 対等合併という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。 A社とB社の関係が対等(合併比率がほぼ1:1の関係)を対等合併と言いますが これはA社とB社の力関係を示す言葉なので、合併形態とは関係ありません。 相手の会社を買うという点では事業譲受(買収)と似ていますが 合併の場合は、事業はなく会社全体を買ってくるため、さらに規模の大きな取引となります。 仕訳はパーチェス法を使って時価で仕訳を行います。   ※ 事業譲受と同じですね。 合併の場合は株式を発行しますので、資本金(純資産)を使って仕訳を行いますが 資本金にしない金額は、資本準備金(純資産)を使って仕訳を行います。 資本準備金は、合併差益(純資産)という科目を使うこともあります。   ※ なお、普通の株式発行と違って原則・例外がありませんので     資本金に計上する金額は問題に必ず指示があります。 吸収合併(存続会社)の仕訳は↓コチラ↓

 資産・負債の差額 < 合併の対価 (借方差額の場合)

 (諸  資  産)  ×××  (諸  負  債)  ××× 
 (の  れ  ん)  ×××  (資  本  金)  ×××
                 (資 本 準 備 金)  ×××

 資産・負債の差額 > 合併の対価 (貸方差額の場合)

 (諸  資  産)  ×××  (諸  負  債)  ××× 
                 (資  本  金)  ×××
                 (資 本 準 備 金)  ×××
                 (負ののれん発生益) ××× 
それでは、下記の例題を使って仕訳を確認してみましょう。
 
<例題2>次の資料の仕訳を行いなさい。(決算日:12月31日)

 1月 5日 A社は、次のような財政状態にあるB社を¥2,200で吸収合併し、1株当たり¥25の株式を 
       100株交付した。なお、1株につき¥15を資本金とし、合併に直接要した手数料¥100(取 
       得原価に含める)は小切手を振出して支払った。
       また、B社の諸資産の時価は¥3,600、諸負債の時価は¥1,600である。
        

12月31日 決算にあたり、5年間でのれんを償却する。

<解法>

 1月 5日 (諸 資 産) 3,600   (諸 負 債) 1,600
       (の れ ん)   600   (資 本 金) 1,500
                       (資本準備金) 1,000
                       (当 座 預 金)   100

12月31日 (のれん償却)   120   (の れ ん)   120

   のれん償却の計算

            12ヶ月
   ¥600 × ――――――――― = ¥120
           5年×12ヶ月
それでは、ここまでの内容に不明な点がなければ、『企業の税金』について学習してみましょう。