その他の引当金

前回は、最も代表的な引当金『貸倒引当金』について学習したので、ここでは残りの引当金を学習していきましょう。

  ※ 2級では、貸倒引当金以外に、退職給付引当金商品(製品)保証引当金修繕引当金などが出てきます。
    たくさんの項目が出てきますが、それほど難しく考える必要はありません。
    問題に「○○引当金を×××円計上する。」といった文言がありますので、「○○引当金繰入 ×××」と仕訳すればOKです。


〜退職給付引当金〜

まずは1つ目の引当金です。

労働協約や就業規則に退職金に関する決まりがある場合、従業員が退職した時に退職金を払わなければいけません。
その時は、将来支払う退職金に備えて退職給付引当金を設定します。

  ※ 退職金には、退職時に一括して払う退職一時金や退職後に分割して払う退職年金などがあります。


退職金は、長く働いた方がより多く貰うことができ、退職後の従業員の生活を保障するものでもあるため
簿記では給料の後払いと考えます。
そこで、将来払う退職金のうち、今年働いてくれた分の金額を見積もり、費用として計上します。
仕訳は↓コチラ↓


 (退職給付費用) ×××   (退職給付引当金) ××× 
  ※ 退職給付引当金のみ、退職給付引当金繰入ではなく、退職給付費用と仕訳するのが一般的です。 それでは、例題を使って仕訳の確認をしてみましょう。
 
<例題1>次の資料により仕訳を行いなさい。
 
12月31日 決算に際して、退職給付引当金の当期繰入額¥1,000を計上した。 

 3月31日 従業員が退職し、退職金¥5,000を現金で支払った。なお、前期より繰り越された退職給付引当金は 
       ¥4,500ある。
 
<解法>
 
12月31日 (退職給付費用)  1,000   (退職給付引当金) 1,000
 
 3月31日 (退職給付引当金) 4,500   (現     金) 5,000
       (退  職  金)   500
 
<参考>  12月31日に損益計算書および貸借対照表を作成すると以下のようになります。


   退職給付引当金は、1年以内に従業員が全員辞めることはないので固定負債に表示します。
〜商品(製品)保証引当金〜 続いて2つ目の引当金です。 商品を販売した後に何か不具合があった場合、一定期間(保証期間)内であれば、無料で修理を行うことがあります。 その時は、将来かかる修理費用に備えて商品(製品)保証引当金を設定します。   ※ 電化製品の箱に同封されている保証書をイメージして貰えれば良いでしょう。 そこで、販売した商品に保証書を付けた場合、販売した商品のうち、実際にどれくらいの修理費用がかかるを見積もり 費用として計上します。 仕訳は↓コチラ↓

 (商品保証引当金繰入) ×××   (商品保証引当金) ××× 
商品保証引当金は、販売した商品が故障した時に、無料で修理しなければいけない義務になりますが お客さんから修理の依頼がなければ、この義務は発生しません。このような債務を条件付債務と言います。 保証期間が過ぎれば、無料で修理する義務はなくなるので、引当金を取り崩します。 仕訳は↓コチラ↓

 (商品保証引当金) ×××   (商品保証引当金戻入) ××× 
     それでは、例題を使って仕訳の確認をしてみましょう。
 
<例題2>次の資料により仕訳を行いなさい。
 
12月31日 決算に際して、無料修理の保証付きで販売した商品¥50,000に対し、3%の保証費用を見積もった。 

 2月22日 前期に販売した商品につき、修理の依頼があったため、業者に修理を依頼して現金¥500を支払った。 

 4月 1日 前期に販売した商品につき、修理の依頼があったが、修理不能のため新品の商品¥500と交換した。

 6月30日 上記商品の保証期間が過ぎたため、商品保証引当金¥5000を取り崩した。

<解法>
 
12月31日 (商品保証引当金繰入)1,500   (商品保証引当金)  1,500
 
 2月22日 (商品保証引当金)    500   (現       金)  500
 
 4月 1日 (商品保証引当金)    500   (仕       入)  500

 6月30日 (商品保証引当金)    500   (商品保証引当金戻入)  500

<参考>  12月31日に損益計算書および貸借対照表を作成すると以下のようになります。


   商品保証引当金は、1年基準によって流動負債か固定負債に分かれます。
  ※ 商品保証引当金は、貸倒引当金のように不足することは滅多にありません。     見積もり以上に修理の依頼が来るようであれば、その会社は欠陥品を販売していることになりますので…。     ただし、会社が気付けなかった原因により、リコールが出てしまうこともあるでしょう。     リコールが原因で見積もり以上に修理費用がかかった時は、不足分を補修費(費用)などの科目で仕訳を行います。     検定には出ないので、覚える必要はありません。 〜修繕引当金〜 最後に3つ目の引当金です。 建物や機械などの固定資産を持っていると、定期的に修理をしなければいけません。 かかった修理費用は修繕費(費用)を使いましたよね? ただし、資金繰りなどの関係で今年中に修理ができない時は、将来かかる修理費用に備えて修繕引当金を設定します。   ※ 建物の屋根が破損して、雨漏りがひどいので修理したいが、今はお金がないので来年修理をする場合などです。 そこで、資金繰りなどの関係で修理を来年に延ばした場合、実際にどれくらいの修理費用がかかるかを見積もり 費用として計上します。 仕訳は↓コチラ↓

 (修繕引当金繰入) ×××   (修繕引当金) ××× 
修繕引当金は、その固定資産を修理して使い続ける時は、修理費用を払わなければいけませんが 修理せずに処分するという選択肢もあります。 修理するかどうかは経営者の判断によるので、修理する義務というものはありません。   ※ 負債の1つですが、債務性のない負債と言われています。 もし、予定していた修理を行わなければ、設定した引当金を全額取り崩します。 仕訳は↓コチラ↓

 (修繕引当金) ×××   (修繕引当金戻入) ××× 
それでは、例題を使って仕訳の確認をしてみましょう。
 
<例題3>次の資料により仕訳を行いなさい。
 
12月31日 決算に際して、修繕引当金の当期繰入額¥700を計上した。 

 1月25日 建物の修繕と改良を行い、代金¥1,500を現金で支払った。代金のうち¥500は耐用年数を 
       延長させるための改良であり、残額は定期的な修繕のための費用である。

<解法>
 
12月31日 (修繕引当金繰入) 700   (修 繕 引 当 金)  700

 1月25日 (建     物  500   (現     金)1,500
       (修 繕 引 当 金) 700
       (修  繕  費) 200

<参考>  12月31日に損益計算書および貸借対照表を作成すると以下のようになります。


   修繕引当金は、通常すぐに修理が行われるため流動負債に表示します。(1年基準)
それでは、ここまでの内容に不明な点がなければ、『研究開発費』について学習してみましょう。